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奈良教育大学名誉教授・奥田喜八郎先生による 「奈良県英語ゼミナール 第4号」 発売中!
奈良教育大学名誉教授・奥田喜八郎先生による 「奈良県英語ゼミナール 第4号」 発売中!
奈良教育大学名誉教授・奥田喜八郎先生のゼミナールに対応した、小冊子の第4号が発売になりました。
英語教育活動について論じられていますので、ぜひお買い求めください。 <著者のことば> 英語教育を担当する小学校・中学校。高等学校の先生方へ、 奥田は、今年度(平成25年度)の「冬季授業期間中」、東京大学教授葛西康徳「西洋古典学」研究室の客員として、ギリシャ語・ラテン語からの借入語英語という言語成立過程の研究に取り組んできました。たとえば、名詞characterという語は、 [Middle English carecter, distinctive mark, imprint on the soul, from Old French caractere, from Latin character, from Greek kharakter, from kharassein, to inscribe, from kharax, kharak-, pointed stick.] からの、つまり、元ギリシャ語の借入語です。これは、「先の尖ったもの」が原義です。このギリシャ語が、ラテン語を経て、また古フランス語(9-13世紀)を通って、中期英語時代(1150~1475)に英語(「魂に刻まれたもの」)として借入した語です。 思うに、これがイギリスの教育目標(「人格形成」)、すなわち、 James Kirkup says in the Mother Goose's Britain that the British character is formed by this process of trail and error. というcharacterです。このような研究が、Etymology(「語源学」)といいます。語源の説明や、語源的意味や、語の由来を調べることです。この分野が、現在の英語教育に欠落しているものです。 しかし、さらに、英語という言語成立過程を徹底的に理解するために、必要不可欠な学問は、いわゆる、「印欧祖語(Indo-European Roots)」です。その上、Proto Indo-European Rootsが別に並存しています。奥田の興味は、借入語英語という一語が、どうして、このような「形(form)」となり、「意(sense)」をもち、「音(sound)」を発するのか、です。 たとえば、「印欧祖語」では、ma- という短い音があります。これは、imitative of a baby's cryという、赤ん坊の泣き声をまねた音です。または、noise when sucklingという、乳を飲む音をまねた音をあらわすma-です。ご存知のammaという音は、このma-の二重の音を表わした、赤ん坊の片言です。 原始ギリシャ人が、このma-という音を生かして、meterという語を作ったのです。このギリシャ語を、イギリス人はmotherという語を作ったのです。これ以外にも、英語で、metropolis, metralgia, metritis, metronymic, parametrium, Demeterなどの語が作られたのです。ここにも、motherという意味が含まれているのです。matterもそうです。またmaterialもそうです。さらにmamma, mammal, mate, mature, maturity,などもma-という音と意味が埋められているのです。 このギリシャ語の影響を受けて、古代ローマ人は、「母」のことを、ラテン語で、materといいます。そして、かれらは、alma materといって、kindly, or nourishing motherという意味の語句をつくるのです。また、古代ローマ人は、materという語を、木の幹を意味するようになるのです。それは、いわゆる、「乳を飲む」というイメージから、この木の枝に「果実」を実らせるという意味合いを踏まえて、上記に紹介した、 matter, mateerialism, それに、materialistic, matter-of-fact, Madeiraなどもそうです。 フランス語からの英語として、madrier, maternal, maternity, matrimony, matrix, matriarch, matron, matricide,などがあります。 タータル語から英語になったものに、mamaがあります。これは、earth「(母の)大地」 という意味です。 思うに、英語の単語の覚え方として、この「印欧祖語」ma-という短い音とmotherという意味が一体化された祖語であることを踏まえて、それを用いて、上記の英語の単語が次から次へと作られていることを再考して、単語を語源から学習し、覚えよう。もちろん、音節(Syllabe(s))も重要です。 奥田 喜八郎 拝 |
公開日/2014年01月22日
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