啓林堂書店 メールマガジン

第84号 >>>
2017-05-01

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啓林堂メールマガジン
5月号 2017.5.1
啓林堂書店 http://www.books-keirindo.co.jp
 
正しいコピペのルールとは?
正しいコピペのすすめ 模倣、創造、著作権と私たち 岩波ジュニア新書 コピペという言葉を聞くと、ネットで文章を拝借し、形だけ整えたレポートを学生が提出する光景を思い出してあまりいいイメージがわかない、という方もおられるかもしれない。だが、そもそもコピペはコピー&ペーストの略であり、複写と貼り付けという意味でしかない。マイナスイメージが広がってしまった背景には、急速に広がったインターネット社会とそのネット環境を利用する側のマナーが深く関わっているのだが・・・
今回ご紹介する「正しいコピペのすすめ 模倣、創造、著作権と私たち」(岩波ジュニア新書)は、そんなコピペとそれに関わる著作権の話を取り上げる。SNSを利用する人々にはぜひ目を通しておいて欲しい内容だ。なぜなら写真のような画像データも、元を正せばオリジナルからのコピーデータだからである。「許されるコピペ」と「許されないコピペ」の違いとは何かに迫る。

 ここで質問。友人と共にレストランへ行き、店員に写真を撮ってもらうよう頼んだとしよう。カメラは自分のものなのだが、この場合の写真の著作権は誰のものになるだろう? 少しシチュエーションを変え、写真館で家族写真を撮ってもらう場面になるとどうだろう。この場合は利用者が写真館に料金を支払う訳だが、この時撮られた写真の著作権は一体誰のものになるのだろうか? 
 著作権は、例えば文学であれば小説や詩などの作品を生み出した人、写真であれば美しい写真が撮れるよう工夫し、撮影した人が持つことになる。お金を支払った人に権利があるわけではない。先程の例に立ち戻って考えてみる。この写真をSNSにあげようとした場合、著作権が関わってくるともうお気づきだろう。勿論、撮影者が利用を了解している分には何の問題もない。
 「著作物」を生み出した人の権利を保護する、というのが著作権という制度であり目的だ。違法DVDなどの海賊版がニュースなどで取り沙汰されることがあるが、これは著作者の工夫と苦労を踏みにじるフリーライドを著作権が許さないからである。ただし著作権には例外もある。公共図書館などでの利用の場面を想像して頂くと分かりやすいが、「コンテンツを作る人の利益」と「公共の利益」のバランスを見た上で、「公共の利益」が優先されることがあるのだ。学校で先生が生徒に配る資料をコピーして利用するのもこれに含まれる。その他、気になる場面が出てきた方もおられると思うが、あとは本書で詳細をご確認頂きたい。

 さて、ここで一度冒頭に出したレポートのの話に戻す。ひとつ確認しておきたいのが、正しいルールにのっとって本文をコピーする「引用」という方法である。学術論文などはこの方法で記事が作成されるが、引用を用いる場合、利用者には一字一句違わぬ本文のコピペが要求されることになる。例え元の文章に誤字があったとしても、利用者は原文をそのまま引用しなくてはならない。本文ママなどと記載されている文章を見た事がある方もおられるのではないだろうか? また、どこからの引用であるかは明確に記し、誰でも引用元に遡れるようにすることも重要だ。だが、ここまですれば正しいコピペだ。先人の考えを引用していると明言し、そのヒントを元に自分の考えを新たに述べる。難しいなりに自分で工夫し、レポートを書き上げることに意味がある。ただのコピペでは意味がない。レポートは本来そういうものだ。

 この本は決してコピペを頭から駄目だとするのではない。むしろ著者は今の私たちの生活はコピペなしで成り立たない部分があるとも認めている。ただ、そのコピペにもルールがあり、著作権が関わっていることを忘れてはならない。正しいコピペとは何か、これを機に少し考えてみて欲しい。
 ジュニア新書ではあるが、学生さんにも一般の方にもおすすめ。一読するだけでも少し自分の意識が変わるはずだ。
今月の私の1冊
カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの?
 食べ物・飲み物にまつわるカガクのギモン」【化学同人】
ANDY BRUNNING 著
〔高橋秀依、夏苅英昭 訳〕、1620円
カリカリベーコンはどうして美味しいにおいなの? 化学同人タイトルのインパクトが強すぎて思わず手に取ってしまった1冊。ワインやビールの瓶に色がついているのはなぜか? タマネギを切るとどうして涙が出るのか? エナジードリンクは本当に効くのか? など、食べ物・飲み物にまつわる日常の疑問を化学の視点から読み解く。
文体も読みやすくオールカラー仕様のため、もっと初心者向けの本かと思いきや、右側に濃厚な読み物、左側には化学式も配置した見た目以上に本格的な内容。普段化学に親しんでいないと耳慣れないカタカナの成分名に正直とっつきにくいと感じる部分もあるが、著者・訳者は極力最初の一歩が踏み出しやすいよう配慮をしてくれている。まず目次で気になる疑問をチェックして、そこから読み進めてみるのがいいかもしれない。
なお、ペニシリンが意外なところに登場したのが、私には一番印象深く残っている。どこに出てきた話題か、各テーマの読み物を楽しみつつ探してみて欲しい。
今月の私の一冊
ミニコラム「私と本」
≪今月の担当≫ 学園前店 社員 宮本敬史
 お店によく来るお客様の中に、佐伯泰英氏の「居眠り磐音」シリーズを集めている女の子がいる。全51巻の大作である。こつこつと買い続けて、ついに先日、最終巻をレジに持ってきた。
 「凄いですね。最終巻ですね」と声を掛けると、「次は外伝も買います」とのお返事。うーん凄い熱量だ。
 この熱はいつか冷めてしまうかもしれない。けれども、熱が冷める前にこの子とこの本が出会う事が出来てよかった。そう思いながら私は外伝を発注する。こうした出来事がある度、私は「本が好き」というより、「人と本が出会う場所」が好きなのだなあ、と感じるのだ。
Chat & Chat
 変わった形の本を買う時、本棚のスペースを考えて悩むことがあります。なんだか複雑なパズルを考えている気分。デッドスペースを眺めていると、だんだん頭が痛くなってきます。
 
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
先月に引き続き、啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(http://www.books-keirindo.co.jp/gaisyoubu.html)にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
 
 
はじめてのおつかい 福音館書店 □ おすすめ児童書
『はじめてのおつかい』 【福音館書店】 筒井頼子/作、林明子/絵
赤ちゃんのお世話で忙しいお母さんにかわって、初めて1人で牛乳を買いに行く事になった
みいちゃん。
ハラハラドキドキ・・・。所々に隠れているしかけも楽しめる絵本。
 
 
□ 外商部おすすめの奈良本 天皇側近たちの奈良時代 吉川弘文館
『天皇側近たちの奈良時代』 【吉川弘文館】 十川陽一/著
古代日本における天皇の側近とは、いかなる存在だったのか。都造りなど天皇周辺の事業から手がかりを探り、藤原・阿倍氏らが担った内臣の職の起源と展開を軸に、聖武天皇・光明皇后を中心とした人間関係などを読み解きながら側近の具体像に迫る。天皇家と律令制の構造の中で側近たちが果たした役割を位置づけ、彼らを通して古代国家像を描く。

 
 
「おすすめ児童書」「外商部おすすめの奈良本」の5月号は5月初旬に更新予定です! お見逃しなく!
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