啓林堂書店メールマガジン

べつに怒ってない 2026.2.2

2月号 2026.2.2

啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

べつに怒ってない

“「何気ない日常」と口にした途端、日常の何気なさが逃げていく。そもそも日常って何気ないのでしょうか。”

このような冒頭の問いかけから始まる本書のタイトルは、「べつに怒ってない」(筑摩書房)。

だからなに? と思うような些細なことがどうにも頭から離れず、あれこれ色々と考えてしまう・・・そんな著者が日常に潜む様々なことがらを、時に鋭く、時にふわっと柔らかく、エッセイの形で切り取っていく。

 

お店の中が急に暗転。何事かと思っていたら、知らない誰かの誕生日を祝うためのサプライズ演出だった――

著者が注目するのは主役の方ではなく偶然巻き込まれた他のお客さんの方。周りに合わせて拍手はしているけれど、本当は・・・

主役のポジションいまだ未経験の著者による、素直で遠慮のない物言いが小気味よい。主役のポジションを経験したことがある方も、振り返って考えてしまう一編となっている。

 

“コンビニに行くときのような恰好”と言えば、大体ジャージにスウェットの姿を皆さん想像すると思うが、少し思い出して欲しい。果たして普段自分がコンビニに出かけるとき、その“コンビニに行くときのような恰好”でコンビニに行ったことがあるだろうか?

自分の行動を振り返ってみると、あまりコンビニにだけ行く、という機会がそもそもない気がする。どこかへ出かけていて近くにコンビニにがあったから立ち寄る、もしくは急に入用になったものをコンビニで調達してそのまま他の目的地に向かう・・・というパターンが多い。

考えてみると実は貴重? なコンビニおでかけスタイルの話。

 

“マットの耳”なんてピンポイントなものにも著者は目を向ける。マットの耳の存在など、私は体育の授業以来すっかり忘れてしまっていたのだが、本書を読み進めているうち、授業中にうっかりマットの耳に足を引っかけて転倒しそうになったこと、意外に硬くて重いマットの質感までもが鮮明に思い出された。マットの耳には不思議な力がある・・・? のかもしれない。

 

そのほか、目次を眺めているだけでも好奇心をくすぐられるタイトルがずらりと並んでいる。

いずれも楽しい話が収録されているのだが、私は書店員という職業柄、「ガムテープってやつは」「書店員の企み」を特に楽しく読んだ。

ガムテープに触れる機会は、著者より確実に多いはずなのだが、段ボールに本を詰めて梱包する際、本書で取上げられているガムテープの問題に頻繁に遭遇している。

「書店員の企み」では、著者による観察眼が光る。普段店頭で見かける書店員がつぶさに観察、分析されていて、心持ち背筋を伸ばしてしまった。気になった方はぜひご一読あれ。

 

すき間時間にも楽しく読める一冊。著者の言う「だからなに?」よりも、私は「確かに!」と頷ける話が多かった。オススメ!

<今月の私の一冊>

ロウソクの科学

【ちくま学芸文庫】

マイケル・ファラデー/著 渡辺正/訳

 19世紀、電磁気学の創始者ファラデーが英国王立研究所の大講堂で少年少女向けに語った連続授業6回分の記録。
 ロウソクの小さな炎から物理・化学の基本原理について、様々な実験を介して解き明かしていく。
 これまで発行されてきた訳本とは異なり、当時の雰囲気が伝わるよう、ファラデーの語り口が子ども向けを意識したものへと変更されているのが本書の特徴。また、原著に見られた本文のちぐはぐさや分かりづらさを解消するため、流れや内容はそのままに、最小限の加筆、削除、改変も行われている。今まで他の訳本を手に取ったことのある方も、ぜひ読み比べてみて欲しい。巻頭と巻末の訳者のことばも必読!

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ ジュンク堂書店奈良店 店長 澤田健吉

 ごく個人的なことではあるが同い年の同僚が最近、老眼になってきたという話を聞いた。幸いに私はまだ老眼にはなっていないが、40代で始まるものかと驚いた出来事だった。

 書店には多くのご年配の方が来店され、本を読むのに必要なのでシニアグラスを取り扱う店も多い。当店でも複数種類取り扱い人気商品である。

 年齢を重ねても読書欲が衰えず知識を欲するということは人生100年時代に必要なことだと思う。自分自身も年齢を重ねておしゃれなシニアグラスで本を読める人生を送れたら素晴らしい。

Chat&Chat

 先日、おばあさんと小学生くらいのお孫さんが二人でレジに並んでいるのを目撃。お孫さんがシリーズのコミックをお小遣いでどっさりまとめ買いした後、おばあさんが1冊だけ別にお会計されていたのですが・・・

 よくよく見てみると、計算ドリル!

 にこやかに笑っているおばあさんの横で、首を横に振るお孫さんを見つめつつ、勉強頑張れー! と心の中でひそかに応援していました。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

ぼく もう なかないぞ

【あかね書房】

守屋正恵/作 いもとようこ/絵

 泣き虫のもぐらのむぐら君が節分の鬼退治を通じて、自信が持てるようになり、成長するお話。「風邪ひき鬼」「けが鬼」と外的な鬼だけでなく、「泣き虫鬼」と人間の内面の弱さを鬼として追いはらう姿に勇気づけられます。

外商部おすすめの奈良本

ここまでわかった聖武天皇の宮
吉川弘文館】

奈良文化財研究所・大阪歴史博物館/編

2月27日発売予定

 天平の栄華をきわめた聖武天皇は、なぜ平城宮から遷(うつ)ったのか。恭仁宮、紫香楽宮、難波宮への遷宮は、古代史上、今なお大きな謎である。聖武天皇に関わる最新の研究と発掘調査の成果から聖武天皇が造った諸宮を紹介し、その謎解きに挑んだシンポジウムの記録集。さまざまな分野の専門家によるコラムをちりばめ、古代の宮殿跡の魅力を解説する。

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