44月号 2025.4.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
ことばは街並みに似ているのだそう。長い歳月をかけて意味や発音が変わったり、新しいことばが増えたり、古いことばが消えたりする。変化を寂しく思うこともあるかもしれないが、変化にはちゃんと理由があるのだ。
今回ご紹介するのは、「日本語どんぶらこ ことばは変わるよどこまでも」(毎日新聞出版)。
本書は『毎日小学生新聞』に連載中のコラム「日本語どんぶらこ」から厳選した記事をまとめたものだ。
さて、「地面」の「地」はどうして「ぢ」ではなく「じ」と書くのか? あなたはすぐ答えられるだろうか。
本書ではそんなふとしたことばの疑問や、考え方、使い方などが身近に感じられるような紹介がされている。読書感想文を書いていてふと思った疑問、変わった言い回しのことばや最近よく聞くようになった流行語・・・日曜日が終わる時の気持ちについて考えるような章もある。
日本語、ことばに関することを国語辞典編纂者である著者が優しく読み解く。一部例を紹介してみたい。
内臓に関することばの多くは、中国から入ってきた。五臓六腑で聞かれる肝臓や心臓、肺などを表す「臓」、胃や腸などを表す「腑」と言った呼び方である。だが、古い日本語にも内臓をさすことばがある。
例えば「きもをつぶす」の「きも」とは肝臓のことをさす。そして「こころ」といえば言わずもがな心臓のことだ。「はらわたがにえくり返る」の「はらわた」は大腸のことで、「ほそわた」といえば小腸のことになる。
では「ふくふくし」はどこの内臓のことかわかるだろうか? 語感がかなりヒントになっている。胃の別名はかなり衝撃的だった。こちらはぜひ本書でご確認を。
比較的最近登場した、こんな言葉にもスポットが当たっている。
例えば「おじさん構文」とは、LINEなどでおじさんが若い人に送るといわれるなれなれしい文章のことを言うそう。「○○構文」とすると、○○特有の表現、という意味になるようだ。例えば、まんが「ちいかわ」のキャラクターの口調をまねた「それって……○○ってコト!?」のような表現は「ちいかわ構文」と呼ばれる。
国語辞典で掲載されている「構文」の項目に、新たな意味が追加される日も近いのかもしれない。
他にも、まんがから輸入された言い回しや、絵文字やアスキーアート、ピクトグラムといった、比較的新しい表現方法にも本書は目を向けている。
「ぴえん」や「闇落ち(光落ち)」も網羅されているのだが、「かわいい」にいたっては、次のページにあの有名な古語とセットで紹介されており、思わずなるほどと納得してしまった。
ますます日本語や言葉の表現方法に親しみがもてる一冊。良書!
「殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス」
【KADOKAWA】
五条紀夫/著
誰もが知る「走れメロス」のパロディ小説が登場。身代わりとなった友、セリヌンティウスを救うため、約束の期日までに城へと戻らなければならないメロス。だが、先を急ぐメロスを阻むのは、行く先々で起こる不可解な殺人事件だった。本来は事件に首を突っ込んでいる暇などない。だが、持ち前の正義の心につき動かされ、メロスは事件の全容を推理していくことになる―― バカミスに分類されるミステリ。話は終始コミカルで、登場人物の名前に始まり、思わずツッコミを入れたくなるような展開が続く。だが、不思議と読んでしまう。ページを繰る手も、笑いも止まらない。気づけばメロスお得意のフィジカルで乗り切る展開を期待してしまっている自分がいた。最終章で明かされた真実が衝撃的だったのだが、いや、このメロスならありうるのか……? 原作を読んだ上で、細かいことは気にせず、楽しく読むが吉。
≪今月の担当≫ ジュンク堂書店奈良店 社員 小川岳志
最寄りの駅に「図書受け取りロッカー」が設置され、図書館まで行かなくても本を借りられるようになったので、試しに使ってみた。 図書館のホームページで読みたい本を探し、受け取り場所にロッカーを指定すると、3週間ほどで到着のメールが届き、無事受け取ることができた。 ロッカーでの受け取りを希望する人がかなり多いらしく、本が到着するまでそれなりに時間はかかるようだが、特に急いでいない人にとっては便利なシステムだ。
読みたい本はまだまだあるので、また使ってみようと思う
今回は2冊ともタイトル買いの本を紹介しました。表紙買いもたまにするのですが、私の場合は本の内容が端的に伝わるタイトルの方に惹かれがちかもしれません。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『たんぽぽ』
【福音館書店】平山和子/文・絵、北村四郎/監修
道端のあちこちに咲いているたんぽぽ。そんなたんぽぽの生態を精密な絵でわかりやすく描いた科学絵本です。冬の間がどんな様子なのか、地面の下の根っこはどうなっているのか、身近な花なのに知らないことがいっぱいです。朝、昼、夕、と時間で変わる花の様子も観察してみよう。
外商部おすすめの奈良本
『大和青垣の山々』
【青垣出版】奈良山の考古学研究会/翻訳4月15日発売予定
「倭(やまと)は国のまほろば たたなづく青垣山隠(こも)れる倭しうるはし」。ヤマトタケルノミコト(倭建命)は、故郷大和を偲んで歌い上げた。「たたなづく青垣」とは、取り囲む山々。その50山を「歴史と文化」に重点を置いて紹介する。「青垣の山々」は、『古事記』『日本書紀』や『万葉集』にも数多く登場し、神います山として信仰の対象となり、修験の場ともなった。
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