11月号 2021.11.1啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
先月より発売を心待ちにしていた本がついに発売された。 ご紹介するのは『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』(講談社)。福井県立図書館にて、図書館利用者から実際問い合わせのあった本の覚え違いタイトルを書籍化したものだ。福井県立図書館のホームページでも「覚え違いタイトル集」というページで確認することができるのだが、書籍になって解説がついたのが嬉しいところ。本の内容紹介は勿論、利用者の間違いどころに共感するところもあって、興味をそそられる内容になっている。 本書で取り上げられていたタイトルの例をいくつか紹介してみたい。
まずは、本書タイトルにもなっている「100万回死んだねこ」。こちらは皆さんご存知の「100万回生きたねこ」が正しいタイトルだ。「100万回死んで、100万回生きているので、あながち間違いではありません」と利用者に寄り添う解説の姿勢が優しい。こちらは情報が比較的正確で、タイトルにもほぼ間違いがなかったパターンだが、別パターンとして「100日後に死んだ猫」も存在しているとのこと。途端ワニの影がちらつくが、こちらはコミックスなので書店をご利用頂きたいところ。最近話題になった本とタイトルが混ざってしまうパターンは他にもいくつか紹介されている。
次にご紹介するのは一見正しく見えるけれど・・・というパターン。「蚊にピアス」。見過ごしてしまいそうになるが、よく見ると漢字が間違っている。正しくは「蛇にピアス」。利用者に相談を受ける司書も、探しものを提供して一息ついたあとに、あらためて見返していて初めて気づいた、ということが度々あるようだ。思い込みには要注意である。
本書には実に様々なタイトルが例に取り上げられているが、よく登場するのは村上春樹の本だ。「1Q84」「ねじまき鳥クロニクル」など、一風変わったタイトルが多く、勘違いも発生しやすいようだ。「そば屋再襲撃」には思わず吹き出してしまった。正しくは「パン屋再襲撃」。洋が和になった過程が気になる。村上違いで、村上龍の本を村上春樹の本だと間違えてしまう利用者も多いようである。
なお、私が頭を抱えたのは「ウサギのできそこないが2匹でてくる絵本」という問い合わせだ。有名な絵本だが、みなさんは予想がつくだろうか? 本書の構成は後ろのページになればなるほど、本を探し出す難易度が高くなっている。ぜひ、本書を読んで確認してみてほしい。司書のずば抜けた本の探索能力の高さに思わず驚嘆してしまうものがしばしば登場する。
巻末では普段あまり知られていない図書館の活用方法や司書の仕事についての紹介も。検索機では探している本が見つからない! そんな時、図書館のレファレンスサービスを気軽に利用してみようかな、と思わせてくれる内容だった。おすすめ!
「食べる時間でこんなに変わる時間栄養学入門 体内時計が左右する肥満、老化、生活習慣病私 」
【講談社】 柴田重信/著
私たちは普段、食事をとる時間によって同じ食べ物でも体に及ぼす作用が違うことはなんとなく理解している。実際、食事が体調にどのように影響を及ぼすのかについては、様々な要因があるのだが・・・ 本書は時間栄養学という視点から、健康について考えていく。 皆さんは、デザートは食後ではなく食前に摂るのがよいのはご存知だろうか。血糖値の上がり方は、夕食前の間食を挟んだ方が緩やかになり、体への負担は少ないそうだ。また、カテキンを多く含むお茶は、朝摂る場合と夜摂る場合で血糖値の上昇に差があるのだとか。 本書をひととおり読み終えれば、食事の大切さが(特に朝食!)身に沁みて理解できるはずだ。健康に気を遣う場面が多い昨今、一つ本書を参考にしてみては?
≪今月の担当≫ 店舗営業本部 部長 ・ 奈良店 店長 西田大栄
最近、文庫本の “ジャケ買い” にハマっている。 『あつあつを召し上がれ』(小川糸)、『卵の緒』(瀬尾まいこ)、『樽とタタン』(中島京子)・・・。どれもほっこりかわいいイラストの表紙に魅かれて手に取った。読んで納得!!どれも内容にピッタリの装丁に感激である。 これらはすべて新潮文庫。表紙を手掛けたのは新潮社装幀室だ。新潮社は編集部も校閲部も装幀部も自社内に持つめずらしい出版社で、それぞれがそっと物語に寄り添って、1冊の本に育てるそうだ。 本屋で表紙に目が留まったら、それは新潮社装幀室の仕事かも!?
ご紹介した「100万回死んだねこ」で、ややこしいタイトルの本が賞をとったりすると身構えてしまう、という司書さんの話が紹介されていました。真っ先に思い出したのは又吉の「火花」。こちらは注文を頂いたお客様から何件か「花火」で聞いたと記憶しています。かくいう私も、最初は「花火」だと思っていました。こちらは内容を読んでやっと正しくタイトルが覚えられた1冊です。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『どうぶつたちのあきのおたのしみって? 』
【岩崎書店】
アン・ウィットフォード・ポール/文 デイヴィッド・ウォーカー/絵 福本友美子/訳
どうぶつたちにとって、あきはごちそうがいっぱい。 うさぎはぴょんぴょん、りすはきぃきぃと鳴いておおよろこびです。 おおきなクマはブルーベリーとはちみつでケーキを作ってどうぶつたちを集めます。 みんなでごちそうを食べる姿に心が温まります。
外商部おすすめの奈良本
『聖徳太子千四百年御聖忌記念出版 聖徳太子と四天王寺』
【法藏館】和宗総本山 四天王寺/編集、石川知彦/監修11月25日発売予定
聖徳太子が創建して「大阪人のお仏壇」と言われる四天王寺は、千四百年もの長きにわたり常に日本仏教界にとってきわめて重要な寺院である。日本人の心のよりどころとなり続けてきた秘密はどこにあるのか。発掘、歴史、文化、美術、芸能等の第一線の研究者が最新成果を論述。四天王寺研究必読の書。オールカラー図版多数。
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