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大人のためのビジュアル古事記 エロティックで残酷な日本神話 2019.7.1

7月号 2019.7.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

古事記の入門書としては勿論、復習にも最適です!

 今回ご紹介するのは「大人のためのビジュアル古事記 エロティックで残酷な日本神話」(SBビジュアル新書)。ビジュアル新書と出ている通り、カラー挿絵がふんだんに盛り込まれた古事記の入門書である。サブタイトルに少し驚くが、これはぼかして紹介されがちな古事記の細部もしっかりと解説されているためである。
 温かみのある愛らしい登場人物たちの挿絵は、特に女性の神々が魅力的に感じられる。登場する人物の多さから、混乱しがちな対人関係なども関係図でおさえられるため、入門書としては勿論、改めて古事記を読み直そうと思っている方にもおすすめである。

 奔放な神様たちの話はどれも魅力的だが、特に私が気に入っているのは「第2章 天照大御神と須佐之男命」だ。やんちゃな弟・須佐之男命に手を焼く姉・天照大御神の話だが、何かと問題を起こし、周りに迷惑をかける須佐之男命を天照大御神が何度もかばっているのが涙ぐましい。須佐之男命の問題行動はどれを見ても酷い以外に言葉が見つからないのだが、ここの事例は全てきっちりと説明されている。馬の死体を投げつけ、機織り小屋の女性の陰部に機織り道具が直撃、女性が死んでしまうなど、これだけでもかなりインパクトがある。
 度重なる須佐之男命の問題行動に悩みつづけ、ついに耐え切れなくなった天照大御神は天岩戸にこもってしまう。結果地上から太陽が消え、辺りは暗闇に包まれてしまった。この緊急事態に示された解決策は――
 なお須佐之男命は後日、ヤマタノオロチ退治で手に入れた草薙剣を天照大御神に献上し、この姉弟の諍いに終止符を打っている。この草薙剣は回りまわって倭建命の手に渡り、新たな話をスタートさせることになる。

 登場する神々の奔放さや人間くささが古事記最大の魅力。それが損なわれることなく、生き生きと描かれている。ムックも解説とビジュアルが豊富で読みやすいのだが、電車の行き帰りなどで読むにはやはり持ち運びに便利な新書サイズが嬉しい。
 なお、舞台となった場所はところどころ現在の地名を添えて写真つきで紹介されている。奈良は流石に多い。本書片手に名所めぐり、というのも楽しいかもしれない。
 

<今月の私の一冊>

古から今に伝わる 日本の文様

【ビジュアルだいわ文庫】藤依里子/文様図版監修・文、kd factory/文様図版制作

「着物の絵柄に込められた願いを知っていますか?」
店頭で目に入ってきた本書の帯に、問われて思わず手に取ってしまった文庫である。
ぱらぱらとページをめくってみただけでも、まず登場している文様の多彩さ、美麗さに思わず目を奪われる。花、動物・・・中には神仏という少し変わったジャンルも。どんな文様があるのかは、ぜひご自分の目で確かめてみてほしい。
例えば松竹梅文。お馴染みの並びという印象を受けるが、いずれの植物も縁起が良い吉祥文様のひとつのため、ランク付けに使うのは間違いだという説もあるのだとか。図案化された時代は古く、奈良時代にもさかのぼる。ちなみに梅だけの梅文もある。
紋様でも模様でもなく“文様”なのはなぜか。この解説はあとがきに。実は最初目にした帯の問いかけにもつながってくる。
充実した解説はかなりの読み応え。まずは気になった文様から、解説を読んでいってみては?

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 外商部 部長 森川永夫

本を捨てられますか?

 

今年のゴールデンウィークは久々に連休がとれ、今度こそと勢いを付けて本棚の整理を試みました。長い間、購入した本や雑誌が整理されずに積み重なった状態のマイ本棚、読まなくなった本はこの際廃品回収へと思うのですが捨てられません。週刊誌や雑誌の類は紙ゴミとして処理出来るのですが、20年も30年も前の古い文庫でもなかなか捨てられません、かつて読んだ記憶のある本は手元に置いておきたいのは書店員のサガでしょうか、結局貴重な休日は、本棚の奥の本が顔をのぞかせる位にしか整理できなくて何をやっているのかと落胆。でも思いました、平気で本を捨てられる人は本屋には向いていないのではないか?そう思う事で納得させていました。

Chat&Chat

本を読んでいたはずがいつの間にか熟睡。起きたら内容をきれいさっぱり忘れていたということがよくあります。面白いのは読みかけの本が次起きた時には消えていること。どこへやったのかと探してみると、なぜか本棚の上や座布団の上など、自分の寝ていたところより少し離れた場所から見つかります。よく覚えていないのですが、本が折れたりするのが嫌な方なので、どうやら本を無意識のうちに避難させているようです。ただ、栞を挟むのを大抵の場合忘れているため、どこまで読んだか探すところから読書を再スタートさせることになるのですが。

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ(https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/)にて

更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書」「おすすめの奈良本」8月号は、7月下旬に更新予定です!お見逃しなく!

おすすめ児童書

14ひきのせんたく』【童心社】 いわむらかずお/作

お母さんと14ひきは川へせんたくに出かけます。
谷川の涼し気なせせらぎ。みんなでじゃぶじゃぶせんたくです。そして、14匹はせんたくしながら川で楽しい水あそび。
じっくり絵本をながめると、あ、こんなところにカマキリが。せんたく板にのったかえるが流されたり・・・いろいろな発見が!
楽しくてさわやかな1日を14ひきたちと一緒に楽しめる絵本です。

おすすめ奈良本
驚きの地方創生「木のまち・吉野の再生力」――山で祈り、森を生かし、人とつながる』【扶桑社】 蒲田正樹/著 7月3日発売予定

 奈良県吉野をテーマにした文学、歴史書、観光ガイドを踏まえながら、今の吉野の取り組みを様々な視点から取り上げる新しいスタイルの地方創生本。吉野町&世界遺産 金峯山寺全面協力・推薦!

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