12月号 2022.12.1啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
イグノーベル賞とは、人々を笑わせ、そして考えさせた研究に与えられる賞のことである。
「裏ノーベル賞」「ノーベル賞のパロディ」などとも呼ばれ、日本人は毎年受賞の常連だ。イヌの気持ちを教えてくれる「バウリンガル」や、「カラオケ」も日本人の発明であり、どちらもこの賞に選ばれている。
風変わりだったり、滑稽だったりするために、ないがしろにされてしまっている素晴らしい研究に、スポットライトを当てるのもこの賞の役割。
イグノーベル賞は良い研究が堅苦しくある必要は全くない、というコンセプトのため、突飛で面白おかしく紹介されがちだが、中には世界で最も権威のある学術誌「Nature」「Science」に掲載されている研究もある。研究者にとっては自身の研究を人々に広く知ってもらえる機会でもあることから、受賞を辞退する人は少ないそうだ。
「ヘンな科学 “イグノーベル賞”研究40講」(総合法令出版)では、そんなイグノーベル賞を受賞した様々な研究を、ざっくばらんに紹介している。
食べるものが同じでも、条件が変わると感じる味も変わる?
おやつの定番、ポテチ。パリッとした口当たりが癖になって食べだすと止まらなくなってしまうが、全く同じ形状、同じ味のものでも、パリッとした音がよりはっきり大きく聞こえることで、味はより美味しく感じるのだそう。
実験に使われたのはひげのおじさんでおなじみのプリングルス。選出理由はチップスの形がほぼ均一に揃えられており、実験に適していたからだそう。なお、味わい方にばらつきが出ないよう、被験者にはポテチのかじり方にも指示をし、条件を同じにした。音の聞こえ方で味の感じ方に差が出るかを実験したのである。
すると不思議なことに、同じポテチでも、かじった時の音が大きく聞こえると通常よりも15%程度かみごたえが強く、新鮮に感じられるという結果が出たのである。
人間は味だけですべてを判断しておらず、これは聴覚だけに限らない。
本書では他にも、いちご味のムースは、黒い容器で出されるよりも白い容器で出されるほうが10%甘く感じる、というような例も紹介している。この場合は視覚情報が味の感じ方に変化もたらしたことが分かるのだが、味の判断に影響を与えるのは五感だけではないのだそう。詳細については、ぜひ本書をご確認頂きたい。
話の長い人を黙らせてしまう夢の機械、スピーチジャマーは話者に自身の声を実際話しているスピードよりも遅らせて聞かせることで、話を続けられなくしてしまう。普段意識していない人間の特性を利用した興味深い実験だった。どうやら話が長くて困る人、というのは全国共通の悩みのようである。
また、わさびを使った火災報知器は、音ではないアプローチで難聴者にも火災の危険を素早く知らせる。よくわさびを使う、という斬新な発想に行きついたものだと感心する。
各章ごとの授賞式で披露された各研究者のスピーチがまたユーモラスで面白い。肩の力を抜いて楽しめる1冊。おすすめ!
「バカと無知 人間、この不都合な生きもの」
【新潮社】
橘玲/著
“きれいごと社会”の残酷な真実。 SNSはなぜ荒れるのか、民主的な社会がなぜうまくいかないのか・・・私たちが普段直面する問題は、掘り下げてみると人間の歩んできた進化の過程と、生存戦略に深く関わっていることが分かる。 私たちは潜在的に差別や偏見意識を持っており、そこからなかなか逃れられない。そう指摘されると、そんなことはない、と否定する人が大半だろう。だが、実際は・・・ 「人間について、知りたくないけれど、知っておくべきこと」がこの1冊に。
≪今月の担当≫ 店舗営業本部 部長 西田大栄
11月から2年半ぶりに各店で、感染対策を講じて「おはなし会」(お子さま向けの絵本の読み語り)を再開しました! 第1週目の土曜日、学園前店からの再スタート。これまでのように14時に集まっていただけるか不安でいっぱいでしたが、開始前には親子でたくさん来場くださりホッと一安心! 私も久しぶりに食欲の秋にちなんだ『さつまのおいも』を読んで、子どもたちとプップップーと大盛り上がり!やっぱり絵本は楽しい!みんなで読めばさらに楽しい!!と実感しました! 啓林堂書店では毎週土曜日14時から、1店舗ずつ順に「おはなし会」を開催しています!ぜひご参加くださいね!
あっという間に師走。年内に片付けなくてはと、たまった雑誌の整理をはじめましたが、まだ本棚に収まりません。あと3冊の取捨選択が難しい今日この頃です。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『サンタさんのおとしもの』
【あすなろ書房】
三浦太郎/作
クリスマス・イブの夜、女の子がおおきなてぶくろを拾います。 「きっとサンタさんのだわ」 届けてあげよう。 サンタさんはどこにいるんだろう。どうしたら見つけられるか考えます。サンタさんに会えるかな。 版画のような色鮮やかなページを開いて、サンタさんを探してみてね。
外商部おすすめの奈良本
『癌封じの寺 大安寺の365日』【西日本出版社】
河野裕韶(こうの ゆうしょう)/著12月13日発売予定
日本で初めて天皇が建立したお寺で、近年は癌封じの寺としても知られる大安寺。 25歳で銀行員を辞めて仏門に入った副住職・河野裕韶師によって、高野山専修学院での修行、癌封じのお寺での患者や家族との日々、お寺での生活、奈良の仲間たち、師にとっての仏教、お寺の写真集など大安寺での日常を綴ります。
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