10月号 2023.10.2啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
著者の熱量を余すところなく感じられる、おもしろい地層の入門書が登場した。
今回ご紹介するのは「すごい地層の読み解きかた」(草思社)。
形成されている地層の様子や、地層に含まれているものを詳しく見てみると、大昔の地球の様子を推測することができる。まるで自然の歴史書のようである。
本書ではそんな奥深い地層の読み解き方を、豊富なビジュアルと共に解説する。
さて地層と言えば通常、ミルフィーユのようにそれぞれの層が平らに積み重なっているものを想像すると思う。だが、本書の冒頭に紹介されている地層は少し様子が異なる。
巨大な崖一面にちりばめられているのは、まるでシマシマ模様を意図的に組み合わせたかのようなパッチ状の地層。向きはそれぞれバラバラで、その地層の大きな破片が奇っ怪な絵模様のようにも見える。
これが地層なのか? と一瞬戸惑うのだが、パッチ状のパーツひとつひとつは地層の特徴である層をどれも形成している。なぜこのようなことになったのだろうか?
原因はかつて発生した大規模な地すべりにあった。大地震によって液状化し、バラバラに引き裂かれた地層は、海底地すべりによってそれぞれの地層をパッチ状に形成した。中には地層の破片自体が天地逆転しているものもあり、地層を砕いてしまうほどの自然の強大な力を思い知らされる。
なお、どうして地層が天地逆転しているのが分かるかというと、海の中で堆積してできる地層には一定の規則が存在するからである。海の中でできる地層は、通常粒径の大きなものほど速く沈んで堆積する。下から礫、砂、泥の順で層になるため、地層の向きを判断する指標になるのである。
本書には他にも個性的な地層が数多く登場している。断面は普通に見えるものでも、実は見えない部分の層は斜めに傾いているもの、それぞれの層の堅さが異なるために脆い層がえぐれ、櫛状になった層などである。一体なぜそうなるのかについては、ぜひ本書で確かめてみて欲しい。
なお、最終章の「地上の破滅を記録した地層」では、恐竜やアンモナイトなど、中生代を代表する生物が数多く滅んだとされる隕石衝突の話が登場している。隕石衝突説は地層を根拠にしているというのだが・・・地層から読み取れる情報量の多さに思わず圧倒される。
難しい話はひとまず置いておいて、個性的な地層の写真をまず眺めて楽しむというのも一つの読み方だろう。気づけば地層の世界にどっぷりはまってしまっていること間違いなし。
「かたちには理由がある」
【早川書房】
秋田道夫/著
プロダクトデザイナーは、製造工程や素材、コストや構造などの様々な制約、クライアントの思惑、メーカーのブランディングなどを総合的に考慮しながら、美しい製品を作りあげる。 製品と言ってもその対象はさまざまだ。著者の手がけた製品は、一本用のワインセラーから、LED薄型歩行者灯器(信号機)といった大きなものまで多岐にわたる。身のまわりにあるモノのかたちが、なぜそのようにデザインされたのかを考えながら本書を読み進めていって欲しい。その製品のかたちには、さりげなく凝らされた工夫が潜んでいるはずだ。
≪今月の担当≫ 生駒店 店長 渡部大輔
お酒が好きな私は、仕事終わりに地元の行きつけのBarで飲んで帰ることが多い。 そこで出会うお客さんと一緒に飲みながら話していると意外と本好きの人が多くいろいろな本の話でよく盛り上がる。好きな小説やコミックのはなし、お子さんに買ってあげた絵本のはなしなど・・・。 そういった人たちにおススメの本を紹介して気に入ってもらえれば代わりに購入しお店まで届けるといったことをしている。自分で言うのもなんだがなかなかの好評でいろんな人たちから注文を受ける。 だから今日も本を届けるためにBarに行く。
うきうきして買ってきた新しい本、最初はぐんぐん読み進めていってしまうのですが、終わりが見えてきているのに気づいた瞬間、「もう読み終えてしまう!?」と今度はもったいない気持ちになってしまうことがよくあります。面白い本ほどあっという間に感じるのはなぜなのでしょうか。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『ほしじいたけ ほしばあたけ』
【講談社】石川基子/作
ほしじいたけは干し椎茸。きのこ村に住んでいて、日向ぼっこが大好きで水が苦手です。 きのこ村で子どもきのこたちが遊んでいると、一人が谷底へ転がり落ちてしまいました。 さあ、ほしじいたけ、どうする! 無事助けられるか!
外商部おすすめの奈良本
『飛鳥・藤原まるごと博物館検定試験 公式テキストブック』
【淡交社】木下正史/監修10月6日発売予定
世界遺産登録をめざす「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」や価値ある文化資源を持つ飛鳥・藤原地域の理解を深めるために実施する「飛鳥・藤原まるごと博物館検定」の公式テキストブック。「飛鳥・藤原地域の概説」「歴史と古代の国際交流」「飛鳥・藤原地域の文化財」「『万葉集』をはじめとする文学」ほか7章で構成します。飛鳥・藤原地域の各分野の詳細な情報を網羅しており、「日本人の心のふるさと」と呼ばれる同地域を知るための読みものとしても楽しめます。
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