啓林堂書店メールマガジン

さまざまな事柄の「はじめて」にせまる! 2021.3.2

3月号 2021.3.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/

さまざまな事柄の「はじめて」にせまる!

 最古の船は1万年前から90万年前に登場していた! 最古の地図は、紀元前1万4500年頃前にフランスのラスコーの洞窟の壁に描かれた夜空の地図だった!?
 幅広く様々な分野の「はじめて」の内容に触れ、歴史的偉業を取り上げた『なんでも「はじめて」大全 人類と発明の物語』(東洋経済新報社)を今月はご紹介。本書では、生活、健康と医療、移動、科学と工学など、私達の生活に関わる様々な事柄の「はじめて」が、網羅的に紹介されている。

 

 皆さんは世界ではじめて作られたパンの起源をご存知だろうか? およそ3万年前の狩猟採取時代、穀物に水を加えてつぶしたものを石で熱したのがどうやらパンの原形に当たるようだ。
 古代エジプト人は紀元前1000年以降には、すでに酵母を用いてパンを発酵させていたというのだから驚きである。紀元前300年頃にもなると、古代ローマではすでにパン焼きが仕事になっていた。
 私たちの食卓でおなじみの食パンの形になるまでには、ほかにもきめ細かな小麦粉が必要であったりするのだが、こちらの詳細については、本書をぜひご確認頂きたい。

 

 「第3部 健康と医療」で挙げられている項目には衝撃を受けることが多かった。特に医療については、安全な方法が確立された現代に生きていて本当に良かったと思う。
「血液」の項目では、血液型や輸血の話が紹介されているのだが、その中の「子ヒツジの血」というコラムに思わずぞっとした。
 フランス国王ルイ14世の顧問医師だったジャン=バティスト・ドニ。彼は血液に対して独自の考えを持っており、健康な動物の血を輸血すれば人間の病気を治すことができると信じていた。そこで彼はある“実験”を行うことにする……今では絶対やってはいけないことが行われていたようだ。
 なお、はじめての全面輸血が実地されたのは1840年のイギリス。当時はまだ成功するかどうかも不透明な状況だった。そう聞くと余計に恐ろしい。
 「手術」の項目では麻酔が生まれる前の歴史が紹介されている。歴史はかなり古く、フランスの洞窟で発見された7000年前の骸骨によって、穿孔手術と切断術が最初に行われたのは石器時代だったと分かっているとか。麻酔の前? と気になるところだがこちらも詳細は本書をどうぞ。

 

 紹介されている一つ一つの項目の記述はけして多くはないが、収録されている項目の数が本当に多い。著者も「序」で触れているが、通読して読むよりも、辞書や百科事典のように気になる項目を読むのが適切だろう。これに配慮し、目次や巻末の索引から引いて、興味のあるページから引けるようにしてあるのも嬉しいところだ。
 産業化以降の発明品だと思っていたものの多くは大昔の人々の創作を再発明したり、改良したりしたものだったのも驚きである。
 訳文であるため多少読みづらい箇所はあるが、それをカバーするだけの面白い話がたくさん紹介されていた。ありとあらゆる「はじめて」が詰まった一冊!

<今月の私の一冊>

私が作家になった理由(わけ) 

【集英社文庫】 阿刀田高/著

早稲田大学文学部から国会図書館の司書へと進み、作家の道へと入った著者。作家になる為の典型のコース・・・かと思いきや、元々作家になるつもりはなかったという。
幼少期の戦争体験、早くに父を亡くし、経済難を乗り越えての大学進学。だが在学中に結核を発症。闘病後は就職難の憂き目にあい、やっと見つけた就職口が国立国会図書館の司書だった。薄給であったため、良い小遣い稼ぎはないかと探していたところ、執筆の声をかけられて・・・
常に優しい語り口調ながら、時折混じる辛口のユーモアが、著者の作風を感じられて小気味よい。星新一、向田邦子などの著名な作家との交流にもぜひ注目してみて欲しい。さらりと読める自伝エッセイ!

ミニコラム「私と本」

≪今月の担当≫ 郡山店・新大宮店 店長 北浦文三

 ブラックバス釣りを25年ぶりに再開して、3年が過ぎた。
 猛烈にハマり、良いシーズンには週2釣行が当たり前の生活である。
 そうなると、本を読む時間は限りなくゼロに近づいていく。
 そんな中、バスフィッシングの情報収集のために始めたツイッターで知り合った人が、ビジネス書の紹介をしていた。釣るための準備、考え方から水辺を大切にすることまでを、ロングセラーから最新のビジネス書を用いて説明。もちろん私は毎回いいねを押し、紹介された本で気になるものを購入している。うう、書店員よりも本を売るのが上手いじゃないかと悔しい思いをしつつ、レジへ向かっている。

Chat&Chat

 紹介した阿刀田さんの本の中で、「小説」の解説が面白かったです。
 すでにご存知の方もおられるとは思いますが、気になった方は読んでみて下さい!

◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆

啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!

おすすめ児童書

たんぽぽ 』 

【金の星社】

荒井真紀/文・絵 

 春になると花開くたんぽぽ、冬の姿を知っていますか?
 冬の間に土の中で根をはり、養分を蓄えているんです。そして、春になると、たんぽぽが咲きます。その咲き方も一日一日、変化していきます。そんな様子が繊細な絵で表現されています。
道端に咲くたんぽぽを観察するときは、ぜひこの絵本を持って出かけましょう。

外商部おすすめの奈良本

飛鳥への招待』 

【中央公論新社】
飛鳥学冠位叙任試験問題作成委員会/著 今尾文昭/編
3月23日発売予定

 高松塚壁画発見以来、重要な遺跡の発掘が相次ぎ、歴史的景観の整備も進んだ飛鳥。また、『万葉集』の故地として、あらたな魅力を発信しつつある。読売新聞奈良版に足かけ三年にわたり連載された「飛鳥学」は、考古学・古代史・万葉学・民俗学など分野を横断した研究者の最新知見をわかりやすく紹介し、好評を博した。本書はその連載に加え、第一線の研究者による座談会、現地を体感する周遊紀行の三部立てで構成。飛鳥の魅力を一冊に凝縮した決定版ガイド。

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