4月号 2022.4.1
啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
私たちの生活において、触れない日はない日本語。普段強く意識はしていなくても、私たちは必要に応じて表現方法を微調整している。今回は、そんな日本語にまつわる疑問を集めた本をご紹介する。
タイトルは『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界』(幻冬舎新書)。国立国語研究所に寄せられた日本語に関する疑問・質問をスペシャリストが答えていく形式になっている。
まずは、“若者ことばの「やばみ」や「うれしみ」の「み」はどこから来ているのか?”という質問。これらはTwitterなどで若者がよく使う表現である。彼らはなぜ言葉の後ろに「み」をつけて使うのだろうか?
本書によると、本来とは逸脱した表現を使うことによって、冗談めかした「ネタ」としての感情、欲求を見せる効果が期待されているのだそうだ。
個人の感情や欲求をそのまま言語化すると、時に生々しさや強い主張を相手に感じさせることがある。そこで、一旦その感情や欲求から距離をおいて相手に伝える手段として、言葉を名詞化させる方法がとられる。
なら、「やばさ」「うれしさ」などの、「さ」でもよいのでは? という声が出てくるかもしれない。だが、「さ」にはそ の状態である様子、また単純な意味の名詞としての働きしかない。
一方の「み」は、かゆいといった感覚を表す「かゆみ」、甘い味を表す「あまみ」など、具体的な感覚を表す言葉になる。
どうやら自身の実感を伴った名詞化が、現在若者には支持されているようである。
次の質問は、“「あのー」や「えっと」が多い人は話し下手なのか?”。「あのー」などは言葉自体に意味がなく、場つなぎ表現として使われるものだ。多用するといかにも話がうまくない、というイメージがあるが、意外にも聞き手に必ずしも「話し下手」という印象を与える言葉ではないらしい。
例えば、人に頼みごとをするときに「あのー」を頭につけると、いきなり本題を伝えるよりも、相手に対しての申し訳なさや、遠慮の気持ちなどを伝えることができる。この場合の「あのー」は、聞き手に対する配慮などの情報を、話し手が聞き手に与えているわけだ。
他にも、「えー」などは、話を始めるときや、別の話題・場面に移るときなどに、唐突な印象を避けるような、いわゆるクッションとしての働きをしている。
ただし、場つなぎ表現もプラスなことばかりではない。具体的な注意点については、ぜひ本書を確認してみて欲しい。
紹介しきれないくらい、実に様々な疑問が紹介されているのだが、私が一番意外だったのは手話にも方言があるという事実だ。イメージで勝手に世界でも通じると思い込んでいたのだが、どうやらそうではないようである。
目次で気になった内容から読んでみるのもおすすめ。
普段特に意識することなく使っている日本語の奥深さを色々と感じることができるはずだ。
「進化の謎をとく発生学 恐竜も鳥エンハンサーを使っていたか」
【岩波ジュニア新書】 田村宏治/著
たくさんの動物がこの世界には存在している。
動物はこれまでどのように進化してきたのだろうか? 著者によると、進化しているのは形ではなく形作りなのだという。注目のキーワードは、「エンハンサー」だ。
遺伝の仕組みや様々な生き物の分類などにも触れられており、幅広く興味をそそられる。
≪今月の担当≫ ジュンク堂書店奈良店 店長 中村 潔
嬉しい事に子供が産まれた。慣れない事ばかりで、妻と一緒に毎日四苦八苦している。
また子供に対して最初に渡すファーストブックを何にするか悩んでいる。ここは本屋としての本領を発揮して、喜んでくれそうな物を選びたい。やがて一緒に本屋に行けるようになれば、今まで微笑ましく思っていた児童書売場での親と子供の攻防戦を実感できる日もくるだろう。親としての思いもあるが、子供の欲しがる物を買ってあげたいと思っている。
先日児童書売り場で目撃した親子も本をめぐって攻防戦を繰り広げていました。小学校低学年くらいの女の子が高いところにある本をとって! とお父さんに頼んで取ってもらっていたのですが、お父さんが手に取ったのは、見るからに値の張りそうな大きなしかけ絵本! どうするんだろう、と思って見守っていると、「袋に入ってるから中はわからないね」「お父さんお金がないよ」と巧みに諭すお父さんの声が。一瞬だけ女の子の手元にやってきた本は、すぐお父さんによって元の位置へ・・・攻防戦はお父さんの勝利でした。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、
更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
さくらのはなびらが「ほわほわ」舞っています。
かぜにのってはなびらが舞う様子を「ほろほろ」「くるくる」いろいろな言葉で表現した詩の絵本です。
満開のさくら並木を散歩すると、楽しいな、きれいだな、気持ちいいな。
前著『大学的奈良ガイド』は、一般のガイド本では満足できない「学び好き」の奈良ファンの厚い層の存在を発見した画
期的一書であった。大学の教授陣による確かで清新な知を求める世の欲求や向学心はいまも健在であり、続編が渇望されてきた。今回の本は、全体を5章にテーマ分けをして、より分かりやすい視点を新たに採用しつつも、一歩も二歩も踏み込んだ内容となっている。
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