「奈良きたまち」とは、「奈良まち」に対して名付けられた呼称であるが、興福寺、東大寺の門前町として南都では最も古い地区である。京都に都が移ってからは、奈良街道を通じて奈良の玄関口として栄え、平重衡の軍勢が南都攻めに通り、牛車や商人たちが行き交った街道であった。長い歴史のある土地だけに、史上知られた人物はたいへん多い。この「きたまち」に生まれ、あるいは生涯の大半をこの地で生きた4人の異才たちを、前著「奈良まち奇豪列伝」の続編として評伝に書き綴った。