新潮文庫 た-117-5 奈良・猿沢池の畔に鎮座する「采女神社」は池に背を向け、平素は固く門を閉ざしている。昔、入水した采女の霊を慰める祭では、門が開かれるというのだが…。なぜ下級女官の鎮魂が連綿と続いているのか。春日大社から壬申の乱、皇位継承の闇、平城京の怨霊封じにつながる謎。民俗学者、小余綾俊輔の推理が、隠された古代史を解き明かしていく。鍵を握る采女とは何者か。歴史真相ミステリー。