當麻寺(たいまでら)の中之坊に『称讃浄土仏摂受経(しょうさんじょうどぶっしょうじゅきょう)』という奈良時代の経典が残っています。
このお経は、中将姫(ちゅうじょうひめ)が、一千巻もお写経されたうちの一巻といわれていて「中将姫願経」とも呼ばれてきました。
當麻寺中之坊では、この筆跡をそのままなぞる写経ができるようになっており、体験した人は「お姫様と対話しているようだ」というお話をされています。
お経の前半には美しい極楽の様子が詳細に書かれており、中将姫はおそらく、その美しい極楽の姿を思い浮かべながら写経していたと思います。
本書では、中将姫が体感した美しい極楽世界の境地に少しでも近づけるように、『称讃浄土仏摂受経』に説かれる世界を、中将姫が書いた経巻をもとに読み解いていきます。
中将姫直筆お写経、全15回のうち、1回分の写し付き。