扶桑社新書 512
歴史を振り返ると、日本人が抱くこうした”宗教的グレー”な感性が随所に垣間見られます。その一例が、奈良の東大寺にある「手向山八幡宮」と呼ばれる神社の存在です。なぜ仏教寺院に八幡様を祀る神社があるのか。それは、聖武天皇が東大寺の大仏造立のために全国に協力を募った際、大分県の神社・宇佐八幡宮が積極的に協力したという背景があるからです。おもしろいことに、手向山八幡宮のご神体は、僧侶の形をした八幡様です。これほど神仏が混在する宗教観を受け入れる国は、世界広しといえどそう多くはないはず。本書では、そんな日本独自の”グレー”な宗教観についてご紹介していきます。(本書「はじめに」)