奈良時代より一三〇〇年の時を超え、守り伝えられてきた正倉院宝物。聖武天皇ゆかりの遺品、異国風の工芸、シルクロードや唐からもたらされた文物まで、その内容は多彩である。メッキや代用の技法、天馬や麒麟(きりん)といった架空動物の意匠、象牙や翡翠(ひすい)などの素材から、めくるめく天平の美術を解説。古代の造形の粋をあつめた豊穣な世界へといざなう。