1400年前、史上初の女性天皇が聖徳太子を摂政に据え、打ち立てた十七条憲法。和を以て貴しとなす。日本が「国家」となった時代の物語。『利生の人』で日経小説大賞を受賞した天津佳之氏の受賞第一作。今作は神話から歴史に移る時代、日本の「国家」としてのはじまりを描く野心的な作品である。主人公は日本史上初の女性天皇・推古天皇、8人とも10人ともいわれる人たちの話を同時に聞き分けられたという伝承の残る“元祖「聞く力」”で摂政として政治外交を仕切った聖徳太子、そこに蘇我氏、物部氏という二代豪族勢力が絡む。