集英社新書 1049
長歌、短歌、旋頭歌など、全四五〇〇余首が収められた日本最古の撰歌集「万葉集」。京都、飛鳥、奈良といった古都の散策を主題とする随筆の名手が百首を厳選し、瑞々しい解釈と美しいエッセイを添える。内乱が頻発し混沌とした社会にあって、歌の作者たちは嘆きや悦び、叶わぬ願いや迸る想いを懸命に詠み上げた。先の見えない時代を生き抜く逞しさにあふれた古の詩歌が、私たちに今ひとたびの生命力を与えてくれる。同時に、季節がめぐりゆく大和路の風光を確かな筆致で描くことにより、魂を解き放つ旅へと読者を誘う。