11月号 2020.11.2啓林堂書店 https://books-keirindo.co.jp/
本書、日本語訳監修の藤井直敬氏によると、脳科学の分野は専門的で、これまではわかりやすい入門書のようなものはあまりなかったのだそうだ。 今回ご紹介する『世界一ゆかいな脳科学講義 頭の中をぐるぐるめぐる11日間』(河出書房新社)は、難しくなりがちな脳科学の話を子どもにもわかりやすいよう解説している。しかし、安易な簡略化はせず専門的なところにも触れられているため、内容はかなり充実している。大人も勉強になること間違いなしである。 脳は頭蓋骨の「詰め物」で、大切なのは心臓だ――長らくそんな風に考えられていた時代があった。脳はあまり重要視されていなかったのである。古代エジプトの人々は、ミイラを作るときに脳をできるだけ取り除いたそうである。 だが研究が進むにつれ、脳の重要性が次第に人々に認識されるようになっていった。 脳は各領域で行う仕事が異なる。これは脳の各部位に障害を負った患者の症状を分析することで、徐々に分かってきた。役割を分担し、それぞれの部位が協力して脳を働かせる様子はオーケストラの演奏、サッカーのフィールドに例えられて解説されている。 大事な私たちの脳は自然のエアバックに守られている。頭蓋骨の中に収まっているやわらかくてデリケートな脳の周りを脳脊髄液という液体が満たし、ちょっとした衝撃ではびくともしないようになっているのである。人間の脳は高度な思考を行うために大きいのだと認識されている方も多いと思うが、本書では人間と他の動物の脳との比較も試みる。大事なのは果たして大きさか? ぜひ本書で確認してみてほしい。 なお、ちょっと変わった脳を持つ生き物もいる。まずクラゲ。全身が脳になっている。本書の挿絵に登場しているイメージ図はわかりやすいがちょっとグロテスクである。次にヒトデ。なんと脳がないそうだ。正確には脳という器官を持っておらず、代わりに体中に散らばったニューロンが脳の役割を担っている。最後にカイコ。こちらは脳を全身にくまなく持っている。その数なんと32! 情報は混線しないのかと気になってしまう。いずれも私たちには少し想像がし辛いからだの構成になっているようだ。 なお、働き者の脳には休息も必要。そのために睡眠をとる。睡眠をとっている間、脳は昼に受けた情報を整理したりする。人間はおよそ8時間前後の睡眠を必要とするが、動物によってこの長さは異なる。身近な例だと猫は約16時間もの睡眠をとるそうだ。イルカやサメは少し落ち着かない。外敵から身を守るため、脳を半分ずつ眠らせるという少し変わった手法を取る。完全に眠りにつけないのだから気を張りそうだ。イルカやサメに生まれなくて良かったと思う。 不思議で深淵な脳科学の入口を覗いてみたいと思ったら、まずこの1冊を読んでみてはどうだろう。さらに脳のことを深く知りたいと思った時も、きっと本書が他の専門書を読む手助けをしてくれるのでおすすめである。
「自分の中に毒を持て あなたは“常識人間”を捨てられるか 新装版」
【青春文庫】岡本太郎/著
「いのちを賭けて運命と対決するのだ。そのとき、切実にぶつかるのは己自身だ。己が最大の味方であり、また敵なのである」“出る杭は打たれる”を幼少期から度々実感しながらも、けして己を曲げず、その度戦ってきたという岡本。人間にとって本当に大事なこととは、生きるとは何か。岡本の問いには常に熱があり、その度気迫に圧倒される。芸術はわからないからと敬遠している方や、スマートに生きようとする現代人にこそ、ぜひ一読いただきたい。
≪今月の担当≫ 店舗営業本部 部長・奈良店 店長 西田大栄
~スマホを本に持ち替えて~ 奈良まほろばソムリエの会専務理事の鉄田憲男氏が8/20の奈良新聞で、樺沢紫苑著『精神科医が教える 読んだら忘れない読書術』を紹介された。 この本によると樺沢氏は「通勤時間などのスキマ時間だけで月に30冊の本を読む」そうだ! 電車内ではスマホを見ないで読書に専念すると、一気に読書量が増える!? 私も早速、通勤電車の往復1時間をスマホから読書に変えてみたら、あっという間に1冊読み終えた! “読書の秋” 到来! 積ん読だった本を一気読みだ!
秋がどこへ行ってしまったのかと思うほど、最近寒くなってきました。読書の秋だと意気込んでいたはずなのに、寒さに負けて早々布団の中へ・・・物語や本の世界へ旅立つ前に、先に夢の中へ行ってしまう今日この頃です。
◆外商部おすすめの児童書・奈良本のご紹介◆
啓林堂書店ホームページ・外商部ページ( https://books-keirindo.co.jp/gaisyoubu/ )にて、更新中の「外商部おすすめの奈良本」「おすすめ児童書」をご紹介!
おすすめ児童書
『びっくりまつぼっくり』【福音館書店】多田多恵子/文 堀川理万子/絵
森のぼくは、まつぼっくりを見つけた。ひろっていろいろ観察したよ。花びらみたいにひらいたまつぼっくりは、雨にぬれると小さくしぼんでしまいます。そんな習性を利用した「まつぼっくりてじな」のやり方ものっています。まつぼっくりを見つけたら、ぜひやってみてね。
外商部おすすめの奈良本
『大和の古墳を歩く』
【同成社】森下惠介/著11月15日発売予定
日本古代史の故郷大和。古墳研究のエキスパートが奈良県の古墳をあまねく訪ね歩き、ていねいに解説するとともにコースも適切にアドバイス。古代史探訪の最適なガイドブック!!
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