学園前店スタッフおすすめ [アルバイトのM.Kさん]
【人と人ならざるものが混じり合って存在していた平安時代。鬼も霊も、ただあるものとして受け入れられていた、そんな妖しくて雅な世界にぞくぞくします】
「庭を見よ。藤の木があるだろう。おれは、あれに、みつむしと名をつけた。呪をかけたとういうことだ」
これは、小説の主人公である安倍晴明とその親友、源博雅の会話のひとコマです。何の話をしているかというと、この世の一切を縛ることが出来る「名」もとい「呪」について。
識神、毎夜聞こえる琵琶の音、百鬼夜行に白比丘尼・・・・。目次からあとがきに至る全てが心地好い薄闇に包まれていて、まさしく清明達の暮らす世界に一歩足を踏み入れたような感覚になります。
哀しくて思いのほか温もりのある不可思議な世界をたっぷり味わえますよ!
文春文庫